跡部さんの憂鬱

 

「やー。さっきのスマッシュすごかったねえ」

と。ニヤニヤというかへらへらというかまあそんなしまりのない顔で近づいてきたのは千石清純。
「ラッキー千石」とかふざけた呼び名を自称してるヤツだ。
で。なぜかこいつは俺にやたらと絡んできやがる。正直うぜえ。

そんなのにおかまいもせずにヤツは俺に差し入れと言って飲み物を差し出してきた。
それが『フルーツ牛乳』ときた。
どこの誰が運動した直後にそんなもん飲むのか。冗談じゃねえ。
だから俺は全て無視して置いておいたら『飲まないの?』と自ら飲み始めた。
だったら最初から差し入れるな。本気でイライラしてきた。

「やーにしてもさすがは跡部君ってカンジだよねー」
「なにがだ」
「んー。何をとっても完璧だよねーと思って。さすがあの氷帝の次期部長候補だよねー♪」
「何でてめーがそんなこと知ってるんだ?」
「そりゃ他校の有名選手の調査くらいはどこでもやってるでしょ?当たり前じゃないか」

のほほんと言ってのけて。こいつは本気でやる気あるのかとあきれつつ。

「そういうてめーもこの選抜に選ばれた選手なんじゃねーのか?」
「やー。俺は青学の手塚君が辞退してくれてやっと潜り込めたくらいだからねー。ラッキーだなってとこかな」
「それでも普通に考えたらよっぽどのことなんだよ!」
「そうなの?」

『そうなの?』だと?他のヤツに聞かせてやりたいぜ。
俺もまあそこまでこの選抜に興味がある訳じゃねーがさすがにこれはあきれる。

「全国には来たくても来れないヤツが山のようにいるんだぜ?」
「あ。そうかー」

俺にしては珍しい台詞でわざわざ説明してやってもこれかよ。
マジでこいつは大丈夫なんだろうか?マイペースにもほどがある。
そこまで思って俺はある人物のことを思いだした。

こいつとよく似た。人のペースはお構いなしの言動の。ウチで天才と呼ばれてるヤツだ。
で。ついうっかり口にだしてしまった。
それを今でも俺は本気で後悔している。

「てめーと話してると俺の良く知ってるヤツを思い出すぜ」
「へ?誰々?・・・ってかそれ跡部君の彼女とかじゃなくて?うーん。ていうかむしろ彼氏でしょ?」
「は!?何言ってんだてめえは。何で男の俺に彼氏なんだよ」
「やー。だって跡部君ならそうかなーって」
「どういう頭してんだてめーは。わいてんじゃねーのか?」
「そんなことないけど」

「でもその人跡部君の大切な人でしょ?」

急に真剣な目つきで言われて思わず言葉が返せなかった。不覚にも。

「・・・違えよ」
「じゃあ俺が跡部君のこと狙っても問題ないよね?」
「は?何言ってんだ・・・」
「俺は本気だよ」

気づいた時にはすでに時遅し。俺はこともあろうに相手のペースにはまっていた。

「俺は男だ」
「恋愛にそんなこと関係ないでしょ?」
「大いに関係あると思うが」
「いやだなー跡部君!恋愛はもっと自由なものだよ!」
「そういう自由はねえよ」
「やだなあつれないいなあ♪ま。いいや。と言うことでよろしくね」
「あともしホントに彼氏いるんなら俺は引かないって伝えておいてねー悪いからさ!」

と置き台詞だけ置いて来た同様一方的にその場を去っていった。

『俺は良くねえ』とか
『相手が居るって知ってるんならてめえが引け』とか
『もっと真面目に生きろ』とか

言うべき事は何も言えず。
ついでにまだ人のことを多少は考える分ウチの天才の方がましとか不覚にも考えつつ。

とにかく後に残ったのは深い後悔と。
そして災難しか起こらない日々だけであった。

 


センベ。Jr.選抜です。や。読み返してたらいいなあって(笑)
私の中だと忍跡とセンベはなんつーかこう系統がかぶるんですがおかしいのかなあ?
フルーツ牛乳は某バスケ漫画(月ジャン)を思い出しますが。
まあぶっちゃけそこからなんですが。普通じゃないものがフルーツ牛乳しか思い浮かばずで;;
ちなみに忍跡がベースです。
一応忍足とは付き合ってますこの跡部さんは。
そんなカンジでわかりにくくてごめんなさい;;
そして戻りはブラウザでお願いします。

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